もう一人の男アレハンドロ
シェリーのもう一方の産地、マンサニージャの産地として知られるサンルーカル・デ・バラメダに、アレハンドロ・ムチャーダはいます。彼は考古学の博士として活躍しており、モロッコで発掘調査をしておりました。しかし、世の中を変えるには農業が最も近道だと考えるようになり、ぶどう栽培に興味を持つようになりました。そんな矢先、考古学仲間にいとこがフランスでシャンパーニュを造っているという人物に出会いました。
彼の紹介で、アレハンドロはシャンパーニュにぶどうの収穫に行きました。その先とは、20年以上も前からビオディナミ(バイオダイナミック農法)を実践する筋金入りの職人的生産者で、シャンパーニュを造る「ダヴィッド・レクラパール」だったのです。
一緒に収穫をし、話をするうちに、アレハンドロはビオディナミという農法に強烈に惹きつけられました。テロワールを最大限表現するワインを造るにはこの方法しかないと、確信するに至ったのです。
彼の紹介で、アレハンドロはシャンパーニュにぶどうの収穫に行きました。その先とは、20年以上も前からビオディナミ(バイオダイナミック農法)を実践する筋金入りの職人的生産者で、シャンパーニュを造る「ダヴィッド・レクラパール」だったのです。
一緒に収穫をし、話をするうちに、アレハンドロはビオディナミという農法に強烈に惹きつけられました。テロワールを最大限表現するワインを造るにはこの方法しかないと、確信するに至ったのです。
何としてもダヴィッドの協力を得たいと考えたアレハンドロは、ダヴィッドをサンルーカルに来るよう説得しました。サンルーカルを訪れたダヴィッドは、サンルーカルの畑を見るなり偉大な可能性を感じました。というのも、自身の持つ畑トレパイユ村は、石灰のとても濃い土壌でサンルーカルと同じ石灰土壌。そしてシャンパーニュが持っていない燦燦と降り注ぐ豊かな太陽の日差しがそこにあったからです。ここでなら、自分の今までの経験が生かせるのではないか、サンルーカルでもう一つの自分のワイン造りが出来るのではないか、そう考えたダヴィッドは、アレハンドロと一緒にサンルーカルでワイン造りをする決意を固めたのでした。
早速2人は2016年共同で合弁会社を設立し、新しいプロジェクトが始動しました。地元を知り尽くしたアレハンドロは、樹齢が古くよいぶどうの木が植わっているにも関わらず耕作放棄された畑を見つけ、購入しました。実はヘレスでは1970年代シェリーの需要減という経済的危機を迎えたのでした。1970年に24,000ha耕作されていた畑は、現在僅か6,000haまで減少してしまったのです。しかも1970年代はぶどう栽培の効率化と近代化、工業化が進められ、高品質だが収量の低い伝統種パロミノ・フィノは引き抜かれ、カリフォルニアで開発された収量の多いパロミノ・カリフォルニアに次々と植え替えられていきました。
ムチャーダ・レクラパールでは、高品質のパロミノ・フィノを主体に栽培し、さらに品質を高めるため収量は地域平均の3分の1まで引き下げております。
ムチャーダ・レクラパールでは、高品質のパロミノ・フィノを主体に栽培し、さらに品質を高めるため収量は地域平均の3分の1まで引き下げております。
所有するぶどう畑は、パゴ「ミラフローレス」の上部の区画「ラ・プラテラ」にパロミノを1,7ha。同じくパゴ「ミラフローレス」の下部「ミラフローレス・バハ」にパロミノを0,7ha。そして海に近いパゴ「アブラガール」の区画「カミーノ・デル・プエルト」にモスカテル・デ・チピオナを0,9ha、合計3ha強にてぶどう栽培をしております。
サンルーカルのテロワールの特徴は
- アルバリサの石灰土
- 燦燦と降り注ぐ太陽
- 西側の海から吹く涼しい“エル・ポニエンテ”と呼ばれる風
この特徴を最大限表現する為に、ムチャーダ・レクラパールではビオディナミを実践しております。経験豊富な筋金入りビオディナミストであるダヴィッドも、ちょくちょくサンルーカルにやってきては、アレハンドロと一緒にビオディナミを実践し、自身の姿を通してビオディナミを伝授しております。
また、ムチャーダ・レクラパールでは、このテロワールをそのままダイレクトにワインへ表現する為、シェリータイプではなく通常の辛口白ワインとしてワインをリリースしております。つまり、産膜酵母による生物学的熟成や、酸化的熟成から来る風味のない、生粋のテロワールをそのまま感じられるワインを生産している訳です。しかも、フィルターにも掛けず低温処理による酒石酸除去も施さず、通常の10分の1程度とごく少量の酸化防止剤(SO2)を瓶詰め時に加えるだけで他には一切何も加えることはありません。
また、ムチャーダ・レクラパールでは、このテロワールをそのままダイレクトにワインへ表現する為、シェリータイプではなく通常の辛口白ワインとしてワインをリリースしております。つまり、産膜酵母による生物学的熟成や、酸化的熟成から来る風味のない、生粋のテロワールをそのまま感じられるワインを生産している訳です。しかも、フィルターにも掛けず低温処理による酒石酸除去も施さず、通常の10分の1程度とごく少量の酸化防止剤(SO2)を瓶詰め時に加えるだけで他には一切何も加えることはありません。
私は、どう考えてもムチャーダ・レクラパールは、アンダルシア最高のワインと云えると思っております。一例を挙げると、ヘレスのぶどう畑6,000haのうちビオ(有機農法)を実践しているのは僅か30ha。たったの0.5%ですよ!しかもその0.5%のなかで、ビオディナミを実践しているのは恐らくムチャーダ・レクラパールただ1軒!ビオディナミだから一概に美味しいと言うつもりは毛頭ございませんが、そこに掛ける情熱の強さは誰にも負けません。
さて、ではそのようなワインの味わいとはどんなものなのでしょうか。
色調は、輝きのあるゴールデンイエロー。南国のトロピカルフルーツを感じさせる豊かな果実風味。そして“エル・ポニエンテ”がもたらすフレッシュな口当たりと締まった酸。アルバリサ土壌が与えるミネラルとサリニティ。これらが深く、深く、私たちに語り掛けてくれます。まるで、「これがサンルーカルなんだよ」と囁いているように、、