200年前のシェリーを復活させたルイス・ペレス
(前回のポストから続いて・・)
そんな価値あるシェリーの輝かしい伝統と文化が喪失してしまった事を憂えた人物がいました。それは、ルイス・ペレスとその息子ウイリーでした。彼らは、失われた50年を取り戻すべく、人生を投げ打って200年前のシェリー造りに身を投じたのです。
ルイス・ペレスは、シェリーの研究機関であると同時にシェリー醸造家に醸造を教えるカディス大学醸造学部の教授でした。また同時に、当時高品質なシェリーを造ることで知られていたドメックの醸造家としても活躍しておりました。そんな彼が、こともあろうに2002年自身のボデガを家族と共に設立したのでした。まずはこの地の伝統品種であるティンティージャ・デ・ロタからワインを造ることから始め、2013年区画ごとにシェリーを造り出すというプロジェクトを開始しました。そして遂に2016年、フィノタイプの「バラフエラ2013」を始めて瓶詰めして以来、次々と各種タイプのシェリーを世に出すに至りました。
ルイス・ペレスは、シェリーの研究機関であると同時にシェリー醸造家に醸造を教えるカディス大学醸造学部の教授でした。また同時に、当時高品質なシェリーを造ることで知られていたドメックの醸造家としても活躍しておりました。そんな彼が、こともあろうに2002年自身のボデガを家族と共に設立したのでした。まずはこの地の伝統品種であるティンティージャ・デ・ロタからワインを造ることから始め、2013年区画ごとにシェリーを造り出すというプロジェクトを開始しました。そして遂に2016年、フィノタイプの「バラフエラ2013」を始めて瓶詰めして以来、次々と各種タイプのシェリーを世に出すに至りました。

シェリー産業は、効率化が優先されて以来分業により造られてきました。つまり、栽培家は栽培のみ行い、農協が栽培家から買ったぶどうをワインへと醸造し、アルマセニスタと呼ばれる熟成士がシェリーに仕立て上げ長期間熟成させ、我々が知っているシェリー製造ボデガがその原酒シェリーを買ってブレンドし、自社のブランドを付け世界中に売りさばく、といった具合です。ルイス・ペレスでは、昔ながらの畑固有の個性を生かしたシェリー造りを実現する為、栽培から醸造まですべての段階を自社で手掛けました。
ルイス・ペレスのシェリー造りで最も重要な位置づけにあるのが、「エル・コレヒドール醸造所」です。「エル・コレヒドール醸造所」は、パゴ「カラスカル」の丘の頂上に位置します。昔は、それぞれのパゴの頂上には必ず醸造所があり、その前庭に収穫したぶどうを広げアソレオし、醸造したと云われています。シェリー造りに適したヘレスの土壌は、昔海の底だった地層が隆起した石灰で、真っ白な色をしたとても石灰が濃い成分で、アルバリサと呼ばれております。しかも丘の上と下では土壌の組成が異なり、その種類は7つにも分類されます。ルイス・ペレスでは、その最も上部に当たる「バラフエラ」と呼ばれる石灰がミルフィーユ状に重なった区画のみ、つまり最上のぶどうのみから自社のシェリーを造っております。それがルイス・ペレスで最も重要なシェリーである「ラ・バラフエラ」です。


夜間に摘んだぶどうは仕立てるタイプによりアソレオされ、昔使われていた伝統の垂直式角型プレス機に入れられます。4人が横に並び一組となり、端から順番にぶどうを踏んでいくという昔の方法をそのまま再現するという徹底ぶりです。そしてプレス機1つから搾汁されたマストが丁度一樽に収まります。昔なされていた方法は、実に理にかなっていたものでした。



ルイス・ペレスのシェリー造りは、昔と同じ畑ごと、ヴィンテージごとに行われ、ブレンドはされません。それは、畑の個性や年の個性をそのまま持ったシェリーを生み出すためです。従って、ソレラによりブレンドもしません。唯一の例外はノン・ヴィンテージである「カベルビア」ですが、このシェリーは複数のヴィンテージのシェリーをパゴ「カラスカル」の特徴が最大限生かされるようにブレンドして造られるのです。
そもそも何故ソレラ・システムというものが生まれたのでしょうか?
それは何と意外な事に、シェリーの生産量が増大し、樽を横に並べるスペースが足りなくなってしまったからだというのです。3段4段と樽を積めば、それだけスペースを有効活用できるので、一気に樽を積むようになったようです。
それは何と意外な事に、シェリーの生産量が増大し、樽を横に並べるスペースが足りなくなってしまったからだというのです。3段4段と樽を積めば、それだけスペースを有効活用できるので、一気に樽を積むようになったようです。
さて、では200年前と全く同じ方法で造られたシェリーとは、一体どんな味わいがするのでしょうか?

一言でいえば、繊細でエレガント。今まで私たちが飲んできたシェリーとは全くと言っていい程違う印象です。フィノタイプでは、産膜酵母と共に熟成したところから来る強いヒネた様な香りではなく、ヒネ香もとても優しい香りです。オロロソタイプも、強い酸化香ではなく、やはり優しく複雑な香りを奏でております。やはり、アルコール添加していない影響はかなり大きい様で、一般的なシェリーと云うよりは、スティルワインに近い感覚です。
最後に、各パゴの特徴について、記しておきたいと思います。
パゴ「カラスカル」 風味豊かで筋肉質
パゴ「アニーナ」 完璧なバランス
パゴ「バルバイーナ」フレッシュ&エレガンス
あなたも200年前のシェリーワールドを、訪れてみませんか?
パゴ「カラスカル」 風味豊かで筋肉質
パゴ「アニーナ」 完璧なバランス
パゴ「バルバイーナ」フレッシュ&エレガンス
あなたも200年前のシェリーワールドを、訪れてみませんか?