フランスの生産者
テロワールのシャンパーニュ

"バラ・マッソン"は、まさにテロワールをダイレクトに表現する
シャンパーニュ生産者だ!

一般にシャンパン・ハウス(有名ネゴシアン)のシャンパーニュは、いろいろな産地やヴィンテージ、熟成させた各種原酒をブレンドし、ブランドイメージに合った味わいのシャンパーニュを造りだしている。つまり、味わいのコンセプトに基づいた設計図に従って作られたシャンパーニュと云える。それに対して、対極にあるのがレコルタン・マニピュラン(RM)のシャンパーニュだ。RM生産者は自身の持つ畑だけから自身のシャンパーニュを造るので、自身の持つ土地の味わいが表現される訳だ。そんなRM生産者の中でも"バラ・マッソン"は、最大限自身の持つ土地のテロワールをダイレクトに表現している生産者と云えよう!
 
それはなぜか?
 

1.単一の土壌

粘土交じりの石灰質土壌。石灰質土壌にマッチするシャルドネを主体に植えている。ブトン村Butonとヴィルノース村Villenauxeに畑があり、ピノ・ノワールもほんの少し所有するが、粘土の若干多いヴルノース村にピノ・ノワールは植えられている。

2.単一ヴィンテージ

シャンパーニュはノン・ヴィンテージ物の場合、複数のヴィンテージをブレンドして複雑味をもたらし、味のばらつきを抑えるようするのが通例だが、"バラ・マッソン"ではノン・ヴィンテージ物でも基本的に単一のヴィンテージで造っている。つまり、その年の特徴をそのままダイレクトに表現している訳だ。 

3.ヴァン・ド・レゼルブは極力使用しない

シャンパーニュは、通常20%程度のリザーヴワイン(熟成させたワイン原酒)を加えることにより、味わいに複雑さをもたらすことが一般的だが、"バラ・マッソン"では基本的に使用しない!年により若干使用する場合もあるが、使用量はとても少ない。

4.ドザージュは極力しない

酸度の高いシャンパーニュでは、ドザージュ(打栓時のリキュール添加)をし甘味を加えることにより味わいのバランスを整えるのが一般的だが、"バラ・マッソン"では全くしない、或いは加える場合でもその量は僅かのみに抑えている。バラ・マッソンでは収穫の段階でぶどうをとても熟させているので元々必要性が少ない事と、本来の味わいをマスクすることを好まないため、ドザージュはゼロ、或いは最低限に抑えている。

以上の通り、「最大限テロワールを表現」し、「最大限その年の特徴を表現」するシャンパーニュ造りをしているのだ!
 
では、一体"バラ・マッソン"は、どんな人物により造られているのだろうか...

山猫博士

 
"バラ・マッソン"はコート・ド・セザンヌ地区、セザンヌ村から南西に20km程に位置するヴィルノクス・ラ・グランド村に誕生した全く新しいRM生産者。ルイック・マッソンと奥さんのオレリー・バラの2人が力を合わせ、2011年の収穫から自身のシャンパーニュを造り始めた。 シャンパーニュでは畑の価格が高いため、フランスで最も新規参入が難しい地方だが、2人の実家は共にぶどう栽培家で、幸運にもそのぶどう畑を受け継ぐことが出来たのだった。ご主人のルイックが栽培を担当し、醸造学者の資格を持つ奥さんのオレリーが醸造を担当する。

ぶどう畑は合わせて7.5ha。シャルドネ90%、ピノ・ノワール10%という構成。コート・ド・セザンヌの特徴である石灰質土壌にマッチしたシャルドネを主体に、ビオロジック栽培で果実味を生かしたシャンパーニュ造りを実践する。生き生きとした果実とフレッシュ感、ミネラルが大きな魅力だ!
 
初年度は自社ラベルでの販売は僅か1.5haから12,500本のみと限定されており、他のぶどうはデュヴァル・ルロワやチエノなど大手メゾンに販売している。
 
栽培はビオにて行い、醸造はできるだけ自然な手法で行う。彼らのシャンパーニュの特徴は、ぶどうを十分に完熟させることによって得られる魅力的な果実味と、それを下支えするミネラル感。そして、すべての工程で丹念に手を掛けるからこそ得られる気品とエレガンスが魅力だ!収穫は完璧に熟した理想的な段階まで待ち、糖度が十分に乗り酸度もベストのバランスで、全て手摘みにて行う。そして、畑の区画ごとに圧搾しタンク、或いは樽で発酵させる。
 
シャンパン造りで圧搾作業はとても重要で、シャンパン独自の幅広の圧搾機でとてもゆっくり絞る。"クー・ド・キュヴェ"と呼ばれる一番搾り果汁がもっとも高品質で、ストラクチャーがしっかりしている。4000kgのぶどうを圧搾機に入れ、滴り落ちる果汁を順に次のように分類する。

クー・ド・キュヴェ 1650L
キュヴェB      400L
タイユ       500L

それ以上絞った果汁は、シャンパーニュ造りには使用しない。
バラ・マッソンでは品質が大きく左右される絞り果汁の分類にとても気を使っており、"クー・ド・キュヴェ"についても絞り順に1番と2番という具合に2つに分類する程だ。
また、バラ・マッソンではデゴルジュマン(澱抜き)するときは不凍液で瓶口を凍らせることはせず、栓抜き機で王冠を抜いて打栓する。
なぜ?て聞いたら、「不凍液はワインにも体にもよくないでしょ!」
という。そのような細かいところにも気を使うところに、少しでも美味しいワインを生み出したいという心意気の様なものを感じる。

酸化防止剤(亜硫酸)の使用は出来るだけ僅かにとどめ、圧搾時に微量添加するのみで、総亜硫酸40g/L程度とシャンパーニュとしてはとても低い。

彼らのシャンパーニュをサービス、楽しむときは、是非しばらくゆっくりとカーヴで落ち着かせ、膨らみのあるグラスを用いて欲しい。そうすれば、きっと"バラ・マッソン"ならではの卓越した魅力を味わうことができるだろう。

 LF2802 泡
Grain d'Argile, Non Dosé, AOC Champagne
グラン・ダルジル
AOC シャンパーニュ
ぶどう品種:シャルドネ63%、ピノ・ノワール37% 
粘土質の多い土壌にピノを植えている。ステンレスと木樽にて補糖せずアルコール発酵行い、澱と共に9か月熟成。瓶熟2年後手でデゴルジュマンを行う。ドザージュはしないドザージュ・ゼロ!打栓後3か月以上落ち着かせる。キュヴェ名は粘土の種の意。
LF2801 泡
Fleur de Craie, Extra Brut, AOC Champagne
フルール・ド・クレ、エクストラ・ブリュット、
AOC シャンパーニュ
ぶどう品種:シャルドネ100% 
補糖をする必要のない位十分にぶどうを熟させ収穫。時間を掛け優しく圧搾。発酵はステンレスと樽を使用し、澱と共に9か月熟成。フィルターには掛けず瓶詰めし2年瓶熟。デゴルジュマンは1本づつ手で行い、ドザージュは6g加え3か月以上落ち着かせて味わいがよく馴染むようにしている。キュヴェ名は”チョークの花”の意。
LF2803 泡
Les Margannes, Non Dosé, AOC Champagne
レ・マルガンヌ、 ノン・ドゼ、AOC シャンパーニュ
ぶどう品種:シャルドネ100% 
ステンレスと木樽で発酵、うち25%は新樽を使用。澱と共に9か月熟成。フィルターには掛けず2年瓶熟後デゴルジュマン。ドザージュはゼロ!打栓後3か月以上落ち着かせる。キュヴェ名”マルガンヌ”は、ギリシャ語で真珠を意味する"マルガリターリ”のフランス古語。真珠の様に気貴い輝きを意味する。
 
LF2805 ロゼ泡
La Grande Hommée, non dosé, AOC Champagne
ラ・グランド・オメ、ノン・ドゼ、AOCシャンパーニュ
AOC シャンパーニュ
ぶどう品種:ピノ・ノワール100%
十分に熟すまで待ったぶどうを、破砕せずに24時間マセラシオンし、美しいロゼ色を得る。
圧搾しフリーラン果汁のみを補糖せずに16℃の環境下ステンレスタンクで発酵。
細かな澱と共に5か月熟成。その後手で瓶詰めし18か月瓶内2次発酵を行う。
デゴルジュマンは不凍液は使用せず”ヴォレ”と呼ばれる栓抜きを用い1本ずつ手作業で行う。ドザージュはせず3か月以上落ち着かせてから出荷。
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